たとえ子どものためを思ってのしつけであっても、子どもの人権を侵害し、心身に大きな傷を残すような行為であれば、それは虐待にあたります。子どもの意思を無視した親の願いも、ある意味虐待なのかもしれません。■ ■ ■虐待が子どもに及ぼす影響 虐待を放置して、死に至ることや身体に重度の障害を残すこともあります。また、身体の成長が止まったり、精神の遅れを来たすこともあります。十分な愛情を感じられずに育った子どもは、落ち着きが無い、あるいは周囲に対して無反応だったり、極度におびえたり、逆に攻撃的であったりと、不適切な行動をとることがあります。 社会性をはぐくむ時に、最も基本となる親子関係を作れなかった子どもは、自分自身への信頼感に欠け、社会にとって自分は不必要な存在と感じることがあるようです。この心の傷は、虐待が無くなったからといって、すぐに回復するわけではなく、成人してからも影響を及ぼします。社会からの疎外感から、反社会的行動を起こすこともあります。また、虐待を受けた子どもが親になったときに、我が子に虐待を繰り返す傾向もあるともいわれています。相談によって解決した事例 Aさんは母子家庭で、小学生のB君の母親です。離婚がきっかけとなり、Aさんはうつ状態で近くの心療内科に通っていました。B君は元気に学校に通っていたのですが、次第に欠席が目立つようになりました。 Aさん自身、幼い頃に両親が離婚し、幼児期には殴られたこともあったそうです。
元のページ ../index.html#5